さて、70年代日本SFの文庫本を掘り返してカバーイラストを見る。
今回は「広瀬正」の巻です。

マイナス・ゼロ
集英社文庫 1982年2月25日(日付は文庫初版発行時)

ツィス
集英社文庫 1982年3月25日

エロス もう一つの過去
集英社文庫 1982年4月25日

鏡の国のアリス
集英社文庫 1982年5月25日

T型フォード殺人事件
集英社文庫 1982年6月25日

タイムマシンのつくり方
集英社文庫 1982年7月25日
作家デビューが1961年、亡くなったのが1972年です。
単行本は1970年から73年の間に6冊出版されました。
その6冊が集英社から文庫化されたのが1982年です。
カバーは和田誠さんのシンプルなイラストとお馴染みの手描きタイトル。
当時の私はSF小説好き、戦前風俗も好き、ということで、待望の広瀬作品文庫化で毎月一冊の刊行を心待ちにしていたものでしたね。
昭和前半期を主なテーマとしている当ブログとしても、いずれ紹介しないわけにはいかない作家なのですが、例によって小説の内容については語りませんよ。
実際細かいところは憶えていませんし。
私的には再び読み返すために忘れたままにしている、というところです。
これから読んでみようと言う人には、SFとか昭和ヒトケタとかに係わりなく良く出来た面白い小説で、どれを読んでもハズレなしですよ。
一度絶版になったようですが2008年に復刊されたそうです。
広瀬作品は人気がありますからね。
本屋さんに無くてもネットで新しい本が買えるようですよ。
マイナス・ゼロ 広瀬正・小説全集・1 (広瀬正・小説全集) (集英社文庫)ところで当ブログは現在しりとりブログ展開中、前回の記事の一部から今回の記事につなげているわけですが、前回は「宝塚」ということで、広瀬作品に何か宝塚が出てこないかなとパラパラ見ていたらこんな場面が。
長編「エロス」の中で主人公の一人片桐慎一が入院中に聞いた看護婦たちの会話。
看護婦たちは、いま人気の、二人の男役スター、松竹少女歌劇のターキーと宝塚の葦原邦子の、どっちがすてきかということを論じ合っていた。容貌そのほか、いろいろな意見が出たが、結局一人が本で読んだ、ターキーの月収が千円で、葦原邦子の月収が七、八百円というのが決め手となり、ターキーに軍配が上がった。慎一はそのたわいもない話がおもしろくてたまらなかった。
思いがけずターキーや葦原さんの月収が発覚しました。
この場面は昭和11年で、調べてみると大卒銀行員の給料が60円だったそうです。
というわけで、しりとりブログ継続中。

広瀬正(1924 - 1972)
広瀬正氏の人と作品については、こちらのサイトのこちらのページなどが詳しいです。
→[望夢楼]/[本の森へ……]/[広瀬正について] 関連記事:
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posted by nakaco at 10:34|
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これといったような事