2012年12月24日

東京行進曲(私家版)を作る

さて「東京行進曲」といえば、われら戦前モダン愛好家にとっては避けて通れぬ昭和4年度の大流行作。
文豪菊池寛による小説、それを原作とした映画、その主題歌である流行歌と、元祖メディアミックス展開でそれぞれが大ヒット作となった事で知られています。

♪昔恋しい銀座の柳〜や、♪いっそ小田急で逃げましょか〜など、おなじみの歌詞の流行歌は聴いた事があるけど、小説や映画はどんな話?という感じですね。
映画は日活製作、世界の溝口健二33歳の監督作です。
本編102分といわれていますが、残っているフィルムは20数分程度となっています。
現在はその残されたフィルムを再編集した短縮版を見ることが出来ます。

DIGITAL MEMEのTalking Silents 1「瀧の白糸」の同時収録版。
瀧の白糸/東京行進曲

そしてフランスの映画雑誌「Cinema 05」の付録としてDVD化されたシネマティーク・フランセーズ修復版というのがあります。
Cinema 05

見くらべてみると、フランス版の方がとても綺麗にリマスターされていますし、シーンも少し多いです。

印象的な鹿角シルエットのカットや、
東京行進曲より

結婚式のシーンも日本版にはありませんでした。
東京行進曲より

一方フランス版には冒頭のタイトルや、
東京行進曲より

主題歌の歌詞字幕がありません。
東京行進曲より

そしてなによりフランス版には、挿入される台詞カットもスーパーされる字幕にも一切日本語がないという事です。

せっかく残されたフィルムですから、全部みたい、日本語で理解したいしやっぱりキレイな方がいい。

という事で、両方のいいところを合わせて一本にしてはどうだろうか、と思って作ってみたのが今回の「東京行進曲(私家版)」というわけです。

1929年公開のこの作品は、すでに公開後83年が経過しています。
著作権としては権利失効済みという事になると思いますが、とはいえ、過去の作品に勝手に手を加えるのははばかられる、たとえ断片による再編集版であったとしても、という訳で今回行なったのは、以下の様な事です。

まず画質がきれいでシーンの多いフランス版をベースにして、そこに入っているフランス語の字幕カットを外し、日本語版に入っている字幕カットを読みやすく作り直して日本語版の字幕が入っていた場所に挿入する。
字幕は「しねきゃぷしょんフォント」を使ったので旧漢字はほとんど新漢字になっていますが、仮名遣いは旧のままにしました。
一部新たにルビを振りました。これは字幕を読む速さをあるていど一定にしたかったからです。
フランス版にしかないシーンの字幕はフランス語を参考にしました。
一部日本語版にはない説明的な字幕が入っていますが、これは状況をわかりやすくするためで、できるだけ親切になりすぎないように心がけました。
フランス版になくて日本版にある短いカットを入っているべき場所に挿入しました。結果いくつか画質の変わる部分がありますが、現存するフィルムを補い合って無駄なく見ようということです。

ということで、これはあくまで自分が観るための私家版ですが、見てみたいという方もいるかもしれないと思い、アップロードしてみました。
何か問題があったらすぐ取り下げますのであしからず。

時間制限の関係で二分割になっています。
それから日本語版冒頭に入っていた流行歌歌詞字幕の部分を外しました。
これもアップロード時間の関係で、時間制限が解除されたらまた考えたいと思います。


時間制限が解除できたので歌詞字幕入りで一本化し、再UPしました。2014.01.25

YouTubeへのリンク
YouTubeへ
映画「東京行進曲」(1929) 日仏合体版
 

 
posted by nakaco at 00:51| Comment(6) | TrackBack(0) | 昭和前半期
この記事へのコメント
nakacoさん
「東京行進曲(私家版)」拝見しました。
以前CSの衛星劇場で放映されたとき観たのですが
この(私家版)はとてもきれいな映像で見やすいですね。
そのうえフランス版にしかないシーンも観れて感謝感激です。
もっとも私、フランス版があることすら知りませんでしたが(^^ゞ
冒頭部分、東京の街路の数カットや東京駅のレンガ造り駅舎など
貴重な映像も観れて嬉しいです。
ありがとうございました。
Posted by アネモネ at 2012年12月25日 17:26
>アネモネさん
こんばんわ
喜んでいただければ何よりです。
それにしても一映画好きとしましては、よもや溝口健二のフィルムを編集するとは思いませんでしたが、さらにそれを公開するなんて。
こういう事が簡単に出来る世の中になった事には本当にビックリしてしまいますね。
Posted by NAKACO at 2012年12月25日 21:44
私のブログでも東京行進曲を扱いました。
こちらの私家版を紹介させていただきましたが、不都合あれば
仰ってください、私的にはNAKACOのバージョンが現存する編集版では、
溝口監督の残り香が感じられるベストかなと思っています。

よろしくお願いします

Posted by muzik at 2013年03月14日 08:08
>muzikさん
こんばんわ
「私家版東京行進曲」を紹介していただきましてありがとうございます。
現在のところどこからも注意が来ていませんので、取り上げていただいても不都合ないかと思います。
何か問題が起きれば連絡いたします。

muzikさんのブログ なんかいい感じで始まってますね。
Posted by NAKACO at 2013年03月14日 18:41
ご了解いただきありがとうございます。
いまYouTubeも配給会社からのクレームで、なんだか削除の嵐みたいで
1939年以後はたくさん消えてますね。

私の方のブログは、映画とジャズと漫画にあと少しムニャムニャを
書きたいなと思ってます(^_^)。
どうぞこれからも、よろしくお願いします。

あ、それと敬称(>私的にはNAKACOのバージョン)が
抜けてました、悪意はありませんのでコレもご容赦のほどを(; ^ω^)。
Posted by muzik at 2013年03月14日 19:15
溝口健二の映像美はこの時期からすでにあったのですね。
Posted by nomotaku at 2017年12月21日 14:10
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