2012年01月19日

勝手に挿絵11

おや久しぶり。
勝手に挿絵 その11です。

今回は、武田麟太郎作「一の酉」
昭和10年に発表されました短編小説です。
青空文庫

「一の酉」

 十二時をすぎたばかりの鷲神社は、初酉のお札を貰はうとする人たちで、身動きも出来ないほど、混雑してゐた、二人はその中に捲き込まれたが、しつかり掴まつといでと、秀一は手を握つてくれた、大きな人群れはまるで蛇のやうにうねつて、ともすればおしげは浚はれさうになつた。
「秀ちやん、下駄がどつかへいつちやつたよ」
「――見つかりやしないよ、――」

これは最後のところ。
こういう終わり方の小説、好きですね。

武田麟太郎はプロレタリア作家としてスタートしますが、これはその後の「市井事もの」と呼ばれる時期の作ですね。

主人公のおしげは十七歳で、浅草の料理屋の酌婦というか女給というか、
今でいえばホステスさんみたいな事でしょうか。

小説の中に、小学校時代のおしげがこの店の評判娘の一人に憧れて、店の前まで顏を見に来る、なんて話が出て来ます。

小学生が人気ホステスに憧れて店まで見に来るみたいなことで、
今ではちょっと考えにくいですが、時代柄か土地柄か、その両方でしょうか。

前々回の萬龍人気もそうですが、このころの人気者の事情は、今とは少し様子が違ったのかもしれません。

描きましたのは、鷲神社のお酉様で人波にもまれる二人。

家でも店でも厄介事を抱えてモヤモヤした気持をエイヤっと投げ捨てて、そんな事は知った事かと店の主人との約束をすっぽかしてお客と酉の市に来たけれど、さりとてこの秀ちゃんが好きという事でもなく、新しい下駄も無くしちまった、といってそんなに惜しい訳でもない、そんなことやあんなことやこんなことも、もうみんなどうでもいいんだ、不満と不安とやけっぱちと、いろんな気持が入り交じった表情の一瞬を描きたかったのですが。
どうもうまくいきませんね。
 
タグ:勝手に挿絵
posted by nakaco at 10:56| Comment(0) | TrackBack(0) | Illustrator
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